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薮中三十二『国家の命運』 [読書]

最近、いろいろと外交問題に集まってます。そんな時期に、タイムリーな(すぎる)新刊です。先日の文化の日に読みました。

国家の命運 (新潮新書)

国家の命運 (新潮新書)

  • 作者: 薮中 三十二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/10/14
  • メディア: 新書


著者は外交官。「アジア大洋州局長」当時の肩書で北朝鮮問題などの交渉窓口として、ニュースにもその名前が登場したことがしばしばでした。今年2010年に外務事務次官を退任されました。

タイムリーな出版なのですが、具体的などろどろした部分は守秘義務の関係からも踏み込んでは書かれてません。政治家の名前などは、自民党幹事長当時の小沢さんや小泉元総理以外はほとんど登場せず、どちらかといえば、日本や各国の外交の特徴がわかりやすく説明されてます。

例えば、中国外交のポイントとなっている「オフェンスとロジックが大事」などは、実際の仕事にも活かされる内容だと思います。また、日本流の「Yes,we can」では、アフガン支援についての日本の考え方をじゃべられてますが、数字を交えながらまくし立てる場面は、うまく相手に伝えるというのがいかに大事か、情報発信能力が問われてるんですね。

著者の名前の「三十二」がユーモラスに交渉局面にも登場し、相手のペースに乗せられないような当意即妙な切り返しが求められた場面があるなど、暴露的ではない形で、生の現場の声が拾われているも面白かったですね。また個人的にですが、薮中さん、大学の大先輩なんですね。

後半では、海洋国家日本としての経済水域の問題や、自由貿易やTPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)など、まさに「国家の命運」を握るような問題についても、説明がなされており、いまの外交を知る上で読んでおきたいですね。それにしても、外交官はハードワークですね。電波法の次に建築基準法など、さまざまな分野で交渉の材料を勉強しないといけないんですか、いやいやおそれいります。

同じ新潮新書ということもあってか、内田樹さんの『日本辺境論』が何度か引合いに出されてます。対談とかされた(あるいは今後される)んでしょうか。もし対談とかあれば、ちょっと興味深いですね。
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